

ケータイ・スマホに潜む問題と危険
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトやアプリ
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)とは、人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニティ型Webサイトのことで、コミュニティサイトの一種です。趣味や嗜好(しこう)、居住地域、出身校、あるいは「友人の友人」といったつながりを通じて新たな人間関係を築くことを可能にするサービスです。
パソコンを使い、WebサイトからログインするタイプのSNSは、パソコンのある自宅などからしかアクセスできませんでした。しかし今は、それぞれのSNSのサービスが、スマホ用のアプリを提供しています。
携帯できるスマホを使えば、いつでもどこでも他人とつながることができる上、他人の様子がリアルタイムにわかり、即時性が高まりました。逆にいうとその分、他人から距離を置くことが難しい環境になったともいえます。
特に中高生の多くが、日々携帯するスマホからの利用がほとんどのため、いつどこにいても、他人とつながっていなければならない環境におかれています。そういった環境の中で、スマホやSNSを意識的にオフにするなどし、スマホ自体や他人と四六時中つながっている環境に依存しないように成長していかなければなりません。
岡山県内では、Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)などの様々なSNSがある中で、ネットやコミュニケーションサービスを利用していると回答した児童生徒のうち、小学生の6.2%、中学生の34.5%、高校生の67.5%がTwitterを使っていて(2016年岡山県教育庁義務教育課生徒指導推進室調べ)最も使われているSNSとなっています。
Twitterは、短文投稿サイトとも呼ばれ140文字の短い「つぶやき」を発信するSNSです。1人で複数のアカウント(サービスを利用するための権利(ID))を簡単に作ることができるため、本人だと表明しているアカウント以外にも、匿名で登録しているアカウントで趣味の仲間を探したりすることができます。書き込み内容の検索機能や、#(ハッシュタグ)と呼ばれる同じタグを付けた投稿を簡単に表示する機能をきっかけに、DM(ダイレクトメッセージ)を送り合って見知らぬ人と知り合いになることもできます。
アカウントにはプライバシーの設定で、「ツイートを非公開にする(通称「鍵をかける」)」設定ができ、特定のユーザーしか内容を見られないようにすることができるので、どのように自分のアカウントを使うかを十分に考えることが不可欠です。この「鍵」により閉鎖されたアカウント内は、ネットパトロールの業者は閲覧できないため、犯罪が明るみに出にくいといった側面もあるためです。
警察庁の調べでは、「コミュニティサイト(SNSや無料通話アプリを含む)」をきっかけとして犯罪の被害に遭った児童は、平成29年の上半期の半年で、全国で919人と過去最大となっています。被害者のうちの3分の1以上にあたる327人が、短文投稿サイトのTwitterに起因し、被害にあっています。(警察庁発表「平成29年上半期におけるコミュニティサイト等に起因する事犯の現状と対策」より)
これは、SNSの特徴である簡単に複数の匿名のアカウントを作ることができることと、検索により知り合い以外の人からも簡単に目をつけられてしまうことが原因と考えられています。
SNSには、実名登録のものもあれば、匿名で利用できるものもありますが、実名登録のサイトでも、SNSで関わる他の会員が、必ずしも本当のプロフィールを掲載しているとは限りません。多くのSNSは、登録する時に身分証明書類などで本人確認をされることがなく、誰でも簡単に利用できます。
このような、ネットに起因する犯罪被害を防ぐためにフィルタリングサービスがあります。フィルタリングは、青少年にとって不適切なサイトを契約端末から閲覧できないようにする仕組みです。しかし、犯罪被害が起きているサイトの中で、フィルタリングをしていれば被害を防ぐことができたサイトは半数程度で、フィルタリングですべての被害を防ぐことができる訳ではありません。また正しく設定されていなければ意味がありません。
フィルタリングでは、多くの小中高生が利用している、SNS、ブログ、無料通話アプリ、質問サイト、動画共有サイトなどは「コミュニケーション」のカテゴリーに分類されています。これらのうちの一部のサイトを利用したいために、「コミュニケーション」カテゴリーのフィルタリングを設定しない、または一度設定した後解除する状況が見受けられます。
また最近、SNSで面白半分の不適切な画像や動画の投稿が目立っています。自分では面白いと思って投稿しても、他の人には不愉快であったり、社会的に許されなかったりすることがあります。このような投稿は、コピーが繰り返されて拡散し、個人が特定されることもあります。中には投稿が元で、就職の合格内定が取り消されてしまったり、婚約破棄になってしまったりすることもあり、一生後悔することになるかもしれません。
近年、企業の採用人事では、応募者の人柄や行動について、SNSを確認するのが当たり前になっています。一度インターネットに公開した情報は、入れ墨(タトゥー)のように半永久的に残ってしまい、完全に削除することは困難です。このことから、専門家は「デジタルタトゥー(電子的入れ墨)」と呼んで、安易に不適切な投稿をすることに対して警鐘を鳴らしています。
問題点・危険性
- 不特定多数の人たちと交流することが可能です。
- 相手がオープンにしている個人情報が正しいとは限りません。
- 個人情報の管理がずさんになりやすくなります。
- 個人情報を偽ったり、匿名でも掲載できるので、掲載する内容が過激になりやすくなります。
- 無料のゲーム等のサービスが途中から有料となり課金される場合があります。
- 実際に会員同士で会う「オフ会」と呼ばれる会合に気軽に参加してしまい被害にあうケースが発生しています。
- SNSをはじめとするコミュニティサイトで(無料通話アプリを含む)の犯罪被害が急増しています。
- 不適切な投稿で、人生が変わってしまうかもしれません。
対策・対処
- 多くのSNSでトラブルが発生しています。SNSが提供するサービスをよく理解し、仕組みをわきまえて利用しましょう。
- SNSは、性質上、身近な人が見ればすぐに個人が特定できるという事実を認識しましょう。
- 投稿の内容やコメント欄で、人を傷つけたり、反感を買うような投稿をしないように注意しましょう。
- SNSで反感を買った投稿などは、一生インターネット上に残り消すことができません。十分注意しましょう。
- SNSを利用しているすべての人がよい人とは限りません。関わりを持ちかける人を気軽に信用しないようにしましょう。
- 知らない人や会ったこともない人にメールアドレスや、名前、電話番号、住所などを教えないようにしましょう。
- 誹謗(ひぼう)中傷等の被害にあった際には、加害者に関わらないようにブロックしたり、会員を辞めましょう。
- 投稿する前に、自分の投稿が人を不愉快にさせるものでないか、モラルあるものであるか、よく考えましょう。
- 万が一、悪質な誹謗(ひぼう)中傷や脅しの被害を受けた場合は、最寄りの警察署の相談係または生活環境課に届けましょう。