

ケータイ・スマホの利用について話し合う
子どものケータイ・スマホの利用実態
防犯のため、家族と連絡をとるためにケータイ・スマホはとても便利かもしれません。
親が持たせたいと思っている理由である「家族と連絡をとるため」だけに子どもがケータイ・スマホを利用するのであれば、問題は生じにくいです。
しかしながら、実際は子どもたちはケータイ・スマホに備わった機能をフル活用し、問題に巻き込まれたり、問題を起こしたりするケースが数多く発生しています。保護者がインターネット接続機器であるという認識が低い「携帯型ゲーム機」や「音楽プレーヤー」でも、インターネットに接続したことによって問題が起きています。
お子さんが実際に使用しているケータイ・スマホの機能や利用実態と親が思っている利用方法との相違がないか、親子で話し合ってみてください。
お子さんの成長に合わせて、利用実態は変化していくので、話し合いは定期的に行いましょう。話し合いの頻度は、ケータイ・スマホへの依存は進行が早いため、3ヶ月以内をおすすめします。
ケータイ・スマホを持たせた理由
「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用 等に関する調査報告書」(平成28年度 東京都)によると、保護者が「携帯電話(スマートフォンを含めた携帯電話・PHSをいう)」を持たせた理由は「子供といつでも連絡が取れるように」が87.3%と最も多く、次いで「所在地がわかるように」の50.2%、「子供にせがまれて」はわずか2.7%でした。
このように、保護者は子どもに「連絡手段」としてケータイ・スマホを持たせていますが、子どもの多くは、ネットやコミュニケーションサービスなど「連絡手段」以外の機能もたくさん利用しています。

※図1:「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用 等に関する調査報告書」(平成28年度 東京都)より
岡山県の実態
岡山県教育庁義務教育課生徒指導推進室が平成28年12月に、岡山県内の小学校4年生から高校3年生までの児童生徒合計7,835人(抽出率5.7%)を抽出し行った「平成28年度スマートフォン等の利用に関する実態調査の結果について」によると、
- 小学生の57.7%(3,032人(抽出率6.0%)のうち)
- 中学生の78.8%(3,014人(抽出率5.9%)のうち)
- 高校生の95.5%(1,789人(抽出率5.1%)のうち)
が、ネットやコミュニケーションサービスを利用しており、その利用の実態は(図2)の通りでした。
<ネットやコミュニケーションサービスを利用している児童生徒が回答>

※図2:「平成28年度スマートフォン等の利用に関する実態調査の結果」(岡山県教育庁義務教育課生徒指導推進室)より
これを見ると、ネットやコミュニケーションサービスを利用している児童生徒の多くは、LINE(ライン)(無料通話アプリ)やTwitter(ツイッター)などのSNSを始め、動画やゲームなどのサービスを利用していることが分ります。一方で「調べ物」にも使っている割合が多いので、「勉強のためにもなるなら仕方がない」と考える保護者もいるかもしれません。しかし、勉強しながらスマホを使うとSNSなどの誘惑・邪魔が入りやすく、学習の効果を高めるかどうかはわかりません。
では、ネットやコミュニケーションサービスを利用していない児童生徒のケータイ・スマホの使い方はどうでしょうか。この統計には書かれていませんが、インターネット以外の機能、通話機能やショートメールなどを連絡手段として使っていると想像できます。この調査からも「連絡手段」として携帯電話を使用している層と、スマホで様々な機能を使っている層がいることが分ります。
ところで、ネットやコミュニケーションサービスを利用することで、どのような問題が起きているのでしょうか。スマホ、ネット、コミュニケーションサービスを利用したことのある児童生徒で、悪口を書かれたり、トラブルにあうなど「嫌な経験をしたことがある」と答えた児童生徒は、
- 小学生1.704人のうちの9.5%
- 中学生2,302人のうちの21.5%
- 高校生1,684人のうちの17.1%
で、多くの子どもたちがケータイ・スマホやパソコンで嫌な経験をしていることがわかります。嫌な経験の内容は、図3のように、コミュニケーショントラブルが多くを占めています。
<「嫌な経験をしたことがある」という児童生徒が回答>

※図3:「平成28年度スマートフォン等の利用に関する実態調査の結果」(岡山県教育庁義務教育課生徒指導推進室)より
また、ネットやコミュニケーションサービスを利用することで、「悩みや負担を感じることがある」と答えた割合は下記の通りです。
- 小学生1,704人のうちの8.3%
- 中学生2,302人のうちの17.5%
- 高校生1,684人のうちの18.5%
悩みや負担の具体的な内容として、
- 「友だちとのやりとりをなかなか終わらせられない」(小学生39.1% 中学生41.1% 高校生33.1%)
- 「自分の書き込みがあれでよかったかと後で悩む」(小学生37.7% 中学生42.9% 高校生45.8%)
- 「メッセージを読んだことがわかる機能(既読チェック)があること」(小学生20.3% 中学生35.5% 高校生31.5%)
などが子どもたちからあげられました。
あなたのお子さんは、ケータイ・スマホやパソコンの利用で嫌な経験をしてはいませんか。
これらの結果から考えると、ネットやコミュニケーションサービスを利用することで、動画の視聴やゲームなどに時間を費やしてしまったり、SNSが利用できる反面人間関係で嫌な思いをしたり、悩みや負担を感じてしまう恐れがあることが分ります。
自分で時間の制限ができなかったり、現実の友達関係を丁寧に積み重ねているうちは、ネットやコミュニケーションサービスを利用せず、通話サービスのみを利用したり、いわゆるガラケーを利用するというのも一つの解決方法かもしれません。