携帯電話(ケータイ)やスマートフォン(スマホ)等の利用により子どもが巻きこまれるかもしれない問題について親子で考えるサイト

実態・事例

子どもを取り巻くIT環境の変化

子どもを取り巻くIT環境の変化

1990年初頭からIT(コンピュータやデータ通信に関する技術)が急速に発展し、私たちの生活はより便利に変化してきました。

平成生まれが乳幼児の親世代となる今、家庭内にデジタル機器があるのが当たり前の日常を、親子2世代で過ごしています。そんな今の子どもたちは、デジタル社会の真っただ中に生まれ、生まれたときからITに接していたため「デジタルネイティブ」世代とも呼ばれています。デジタルネイティブ世代の子どもたちを取り巻く環境は、親世代の子どもの頃と比べさらに進化しています。

最近では、その環境の変化が加速度を増して進み、ネットに関わるトラブルがどんどん低年齢化しています。今の小学生は、幼児期から動画投稿サイトやスマートフォンに触れているため簡単に機器を操作しますが、正しい使い方やマナーを学ばないうちに興味や欲望の赴くままそれらを利用することで様々なトラブルが起きています。

子どもたちは、世の中の急速なIT化により、親世代が想定できない新しいトラブルに、いつ見舞われてもおかしくない環境に置かれているのです。

(表)デジタルネイティブ世代の子どもを取り巻くIT環境変化
<2023年春 入学生の場合>
年号
西暦
IT社会 出会い系・
コミュニティ
サイトに
起因する
犯罪被害
児童数
デジタルネイティブ世代の
ライフスタイル例
中学生 高校生 大学生
平成4年
1992年
■日本最初のホームページ誕生        
平成5年
1993年
■デジタル方式携帯電話サービス開始        
平成6年
1994年
         
平成7年
1995年
■Windows95日本語版が発売され国内のインターネットの普及加速        
平成8年
1996年
■Yahoo!JAPANサービス開始
■着メロサービス開始
       
平成9年
1997年
⇒国内インターネット人口560万人超        
平成10年
1998年
⇒国内インターネット人口1,000万人超        
平成11年
1999年
⇒国内インターネット人口1,500万人超
■モバイルインターネット「iモード、EZweb、J-スカイサービス(現Yahoo!ケータイ)」サービス開始
■携帯小説の草分け「魔法のiらんど」サービス開始
       
平成12年
2000年
■Google日本語版サービス開始
■カメラ付き携帯登場
■オンラインゲームサイト「ハンゲーム」サービス開始
       
平成13年
2001年
⇒国内インターネット人口4,600万人超
⇒iモード契約数2,000万件超
       
平成14年
2002年
⇒着信メロの配信による著作権使用料前年比3倍
■国内ブログサービス開始
■携帯小説「DeepLove」がミリオンヒット
1,273人      
平成15年
2003年
■au料金定額制サービス開始
⇒国内インターネット人口5,600万人超
■オンラインゲームサイト「メイプルストーリー」サービス開始
1,278人      
平成16年
2004年
■SNSの草分け「mixi」ベータ版サービス開始
■オンラインゲーム「モンスターハンター」発売
■ネットにつながるポータブルゲーム機「任天堂 DS」、「Sony PSP」発売開始
■プロフの草分け「前略プロフィール」サービス開始
1,085人     0歳
平成17年
2005年
■動画投稿サイトの草分け「YouTube」サービス開始
■携帯向けSNS「GREE」サービス開始
1,061人     1歳
平成18年
2006年
■携帯向けSNS「モバゲータウン(現mobage)」サービス開始
⇒国内ブログ利用者数2,500万人超
⇒SNS登録者数716万人超
■ネットにつながるゲーム機「任天堂 Wii」、「Sony PS3」発売開始
1,153人     2歳
平成19年
2007年
⇒mixi有効ID 1,000万超
■音楽機器「iPod touch」用ネット接続ソフトリリース
1,100人   0歳 3歳
平成20年
2008年
■スマートフォン国内サービス開始
■「Twitter(現X(エックス))」、「Facebook」日本語版サービス開始
⇒モバゲータウン利用者1,000万超
■携帯向けのゲームサイト「ハンゲ.jp」サービス開始
1,516人   1歳 4歳
平成21年
2009年
⇒GREE利用者ID 1,500万超
■ソーシャルサイト「アメーバーピグ」サービス開始
■ソーシャルゲームの草分け「怪盗ロワイヤル」サービス開始
■SNSのmixiが「サンシャイン牧場」などのソーシャルゲームのサービスを開始
1,589人   2歳 5歳
平成22年
2010年
⇒Twitter(現X)の登録ユーザー世界で1億人超
⇒ハンゲーム会員数3,432万人
⇒Wii販売台数1,123万台、DS販売台数3,212万台、PS3販売台数601万台、PSP販売台数627万台
1,493人 0歳 3歳 6歳
平成23年
2011年
■LINEサービス開始
■「地デジ」に移行しテレビがネットにつながる
⇒Facebookの登録ユーザー世界で8億人超
⇒前略プロフ会員数640万人、モバゲー会員数3,200万人、GREE会員数2,700万人、Mixi会員数2,535万人
1,367人 1歳 4歳 7歳
<小学校入学>
小学校でパソコンの使い方を習う
平成24年
2012年
⇒アメーバーピグ会員数2,000万人超
■スマホの急速な普及が始まる
■大ヒットスマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」サービス開始
1,294人 2歳 5歳 8歳
平成25年
2013年
⇒LINEの登録ユーザー世界で3億人超
⇒パズル&ドラゴンズ2,000万ダウンロード超
⇒携帯電話の世帯普及率94.8%(内スマートフォンの世帯普及率62.6%)
■キッズスマホ発売開始
1,452人 3歳 6歳 9歳
平成26年
2014年
⇒LINEの登録ユーザー世界で5.6億人超
⇒SNSのモバイル利用者数がパソコン利用者数を上回る

■写真共有アプリ「Insragram」日本語版サービス開始
1,573人 4歳 7歳
<小学校入学>
連絡用に子ども用ケータイを買ってもらう(GPS機能付き)
10歳
ゲーム機のオンラインゲームで友達を作る
平成27年
2015年
■動画投稿サイト「YouTube」10周年。
■スマホの技術を利用したケータイ(通称「ガラホ」)が各社から販売される。
■位置情報共有アプリ「Zenly」がリリースされる。
■無料通話アプリ「ディスコード」がリリースされる。
1,745人 5歳 8歳
YouTubeでアニメやヒーロー番組を見る
11歳
YouTubeをよく見るようになる
平成28年
2016年
■「SNOW」、「Snapchat」などのカメラアプリが流行
⇒位置情報ゲーム「ポケモンGO」がリリースされ、一時期1,000万人以上のアクティブユーザーを集め、社会現象に
■「前略プロフィール」がサービス終了
■iモードケータイが出荷終了
■音声系コミュニケーションアプリ「KoeTomo」がサービス開始
1,778人 6歳
親の契約切れのスマホをお下がりでもらう。
お下がりのDSiもらう。
一人でYouTubeを見る
9歳 12歳
平成29年
2017年
⇒写真共有アプリInstagramの日本での月間アクティブユーザーが2,000万人を超える
■「インスタ映え」、「ユーチューバー」が流行語に
■「荒野行動」、「フォートナイト」などのオンラインシューティングゲーム、が相次いでリリースされる。
1,813人 7歳
<小学校入学>
ゲーム実況動画にハマる。
パソコンに興味を示す。
10歳 13歳
<中学校入学>
スマホを買ってもらう。
LINEを始める。
友達のSNSをよく見る。
平成30年
2018年
■国内のエレクトロニック・スポーツが盛んになりプロゲーマーが増え「日本eスポーツ連合」か発足
■PHS新規契約・機種変の受付停止
■「eスポーツ」が流行語に
1,811人 8歳
実況動画を参考にしながらゲームに明け暮れる
11歳
オンラインゲームに毎日1時間以上参加する
14歳
令和元年
2019年
⇒Netflixの契約数が300万件を越える
■「○○ペイ」が流行語のTop10入り。
■「サブスク」がノミネートとなるなど、社会のデジタル化が進む。
2,082人 9歳
キッズスマホを買ってもらう
12歳
スマホを買ってもらう
15歳
Twitter(現X)のアカウントは5つ、LINEやインスタを使い分け、動画の投稿もする
令和2年
2020年
■新型コロナウイルス感染症対策のため、社会全体が直接会うよりネット越しに会うようになる。
■オンライン授業、ZOOMなどによるリモート化のための機器整備が進む。
1,819人 10歳
カメラアプリにハマる
13歳
<中学校入学>
16歳
<高等学校入学>
令和3年
2021年
■GIGAスクール構想による、児童生徒一人一端末が一気にいきわたる。
■「Z世代」が流行語に
1,812人 11歳
ゲーム実況の動画を配信
14歳
友人と放課後撮影した動画をYouTubeに投稿する
17歳
フリマアプリを利用して小遣い稼ぎをする
令和4年
2022年
■「メタバース」が流行語にノミネート。
■対話型AIが登場。
1,732人 12歳
卒業文集の「将来の夢」は「ユーチューバー」
15歳
「インスタ映え」を狙った写真をインスタにアップしたり、面白い短編動画をTikTokにアップする
18歳
「スマホで通販を利用する
令和5年
2023年
■位置情報共有アプリ「Zenly」がサービスを終了する。 13歳
<中学校入学>
16歳
<高等学校入学>
19歳
<大学入学>

※ 出会い系・コミュニティサイトに起因する犯罪被害児童数:警察庁「いわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙状況について」、「出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の検挙状況について」、「少年非行等及び子供の性被害の状況等」
※ 2002~2007年は「出会い系サイト」に起因する数、2008~2016年は「出会い系サイト」と「コミュニティサイト」に起因する数、2017~2022年は「SNS(コミュニティサイト)」に起因する数

人類史上初めて直面する危険

デジタルネイティブ世代の子ども 親世代が子どもの頃には、IT機器は今ほど各家庭の中に入りこんではいませんでした。親は子どもの交友関係を把握し、危険から子どもを守っていました。子どもが知らない人と出会う機会も限定されていたので、親が知りえないようなところまで交友関係が広がることは今ほどはありませんでした。

しかし、デジタルネイティブの子どもたちは、生まれた頃からITに接し、パソコンやインターネットの使い方も学校で習います。インターネットでは、便利なサービスが利用でき、世界中の知らない人とコミュニケーションをとることが可能です。

その反面、心や体は成長途中で社会経験も不足しているので、経験不足のために悪意を持った人や悪質なサービスにだまされ、被害にあう恐れがあります。また、配慮に欠けたコメントをしてしまうこともあります。一個人として必要なモラルや社会性を十分に身につける前に、身を守るすべを知らないままITの機器だけを使いこなし、ITの危険にさらされているのです。

ITは非常に便利で私たちの生活を豊かにしてくれました。ITをいまさら生活からなくすのは難しいでしょう。ならば、IT機器の利用について親子で話し合い、よく考え、保護者として子どもを指導したり、ITの危険に振り回されずに自らの身を守る力を育んだりする必要があるのではないでしょうか。